新型コロナウィルスに起因する中国特許等の期限徒過が発生したら、どうする?
Release time:2020-03-03
    新型コロナウィルス(COVID-19)の広がりにより、特許など手続きの期限徒過が発生し権利喪失の恐れがあるが、この場合の権利回復措置のガイドとなる中国知財局の直近公告をご参考のために整理した。これらガイドは、特許、実用新案、意匠、商標、集積回路配置に関して適用される。
 
1. 適用対象期限は?
 適用対象期限:下記の対象外期限を除き、例えば庁文書への応答期限、各種費用の納付期限など、通常の事務遂行期限が対象となる。
 対象外期限:①優先権主張期限、②新規性喪失の例外の適用期限、③特許などの登録存続期間、④侵害訴訟の起訴期限
 
2. 外国出願人も制度利用可能か?
 外国出願人、及び外国出願人から委任された中国代理事務所であっても当該制度を利用できる。
 
3. 権利回復の請求期限は?
 障害がなくなった日より2か月内。うち、特許、実用新案、意匠、集積回路配置に関しては、本来の期間満了日より2年間を超えてはいけない。
 
4. 権利回復請求に必要な書類は?
    ア 権利回復請求書。COVID-19が理由である場合、請求理由として「抵抗不可な事由」を選ぶ。 “不可抗拒的事由”;
    イ  理由の説明。COVID-19の理由の場合、当事者が隔離されたり感染したりしたこと、所在地の交通規制や場所の閉鎖、政府からの操業再開延期命令などが理由となれる。
 ウ 関連証明書類。証明書類の方式は明確にされていないが、(COVID-19)の理由の場合、例えば当事者が感染診断され入院した記録や、当事者所在地の行政機関から出された規制政策或いは通知などが使えるであろう。

    複数の案件について同一の理由で権利回復を求める場合、1通の証明書類を提出し、複数の案件で当該証明書類を引用することができる。
 
 また、当事者の所在する(中国の)省・自治区・直轄市による「重大突発公共衛生事件一級対応」の実施期間中に、COVID-19関連原因で特・実・意或いは集積回路配置に関する期限徒過が発生し権利の喪失があった場合、所定の期間内に権利回復を請求するとき、証明材料を提出しなくてよい。
 
5.請求料は?
 COVID-19関連理由での権利回復は請求料(庁費用)不要とする。それ以外の理由の場合、権利回復請求料は通常とおりにRMB1000とする。

 


中国知識産権局による公告など


            (ウィルス伝染により影響された特許、実用新案、意匠、商標、集積回路配置関連期限に関する公告  2020.1.28発表)
            (ウィルス伝染に関連する権利回復手続きの具体疑問への解答  2020.2.3発表)
            (新型コロナウィルス伝染期間中の特許、実用新案、意匠、集積回路配置関連期間についての補足説明  2020.2.21発表)




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